原泌尿器科病院 - 神戸市の泌尿器科・腎臓内科

貧血とは

2024.03.20透析室

春までもう一歩といったところでしょうか。
季節外れの寒さや暖かさを繰り返し、ようやく春の訪れを感じるようになってきましたね。

みなさんは『貧血』と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか?
今月の透析室だよりでは、柳瀬先生から『貧血』についてレクチャーしていただきます。

貧血とは

貧血とは『血液中のヘモグロビン濃度が基準値以下に低下した状態』と定義されています。
ヘモグロビン(Hb)は赤血球中に存在するタンパク質で、酸素と結合する性質を持っています。
つまり、ヘモグロビンが少ないと酸素も少なくなり、疲れやすい・息切れ・動悸といった貧血症状を認めます。

貧血とは

当院の採血では、月2回ヘモグロビン値(Hb)を測定しています。
透析患者様ではHb10g/dl以下を貧血と定義しています。

原因は大きく分けて、2つのパターンがあります。
①骨髄で血液(赤血球)が作れない。
②血液(赤血球)が失われる。

皆様は腎不全によって引き起こされる貧血(腎性貧血)と鉄分が少なくなって引き起こされる貧血(鉄欠乏性貧血)は、回診時によく聞くと思います。
このパターンは①にあたり、血液が造れなくなりますので、注射(腎性貧血治療薬:ダルベポエチンアルファやミルセラ®、鉄欠乏性貧血治療薬:フェジン®)や内服薬(腎性貧血治療薬:エベレンゾ®やダーブロック®、鉄欠乏性貧血治療薬:フェロミア®)で補い貧血を改善させます。

パターン②は、消化管出血などの可能性が高いです。
便に血液が混じって赤い便や黒い便が出ていないか確認が必要です。
結果次第では消化器内科に受診して頂き、胃カメラや大腸カメラを受けて頂くことになります。

私たち医療スタッフはこのような見方で、透析患者様の適切な管理目標値とされるヘモグロビン値10~12g/dlになるようお薬で調節しています。
(ヘモグロビン値10~12g/dlで生命予後が良いと言われています。)

これら以外の貧血の原因も多数ありますが、この3点は皆様に覚えておいてほしい病態・疾患です。
ご自身の採血結果のヘモグロビン値の経過をみて、何かお気づき点があれば、回診時に聞いてみてくださいね。

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