腎機能障害
腎機能低下

指摘された方は、当院にお任せください。

健康診断で腎機能障害
腎機能低下を指摘された方

健康診断や人間ドックの検査で異常があると診断され、どうすれば良いのか、再検査は必要なのかなどご不安になられている方はいらっしゃいませんか?

  • 尿たんぱくの数値が±から2+の値が続いている
  • クレアチニンの数値に異常がある
  • eGFRが60未満の値である

などなど…

腎臓は悪化するまで症状が現れないため、「沈黙の臓器」と呼ばれています。
悪化すると「慢性腎臓病」になります。慢性腎臓病は、放置すると人工透析(血液透析や腹膜透析)が必要となり、時間・食事の制限など、生活において様々な障害・制限が発生します。それだけではなく、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まってしまいます。
ですが、慢性腎臓病になる前に早期発見することで、腎機能障害の進行を予防することができます。

腎臓内科外来での
保存期腎不全(保存期CKD)の治療

慢性腎炎や糖尿病性腎症などの腎疾患が進行し尿素窒素(BUN)やクレアチニンが上昇してきた非可逆的な状態を保存期腎不全といいます。最近は保存期腎不全を、慢性腎障害(CKD:chronic kidney disease)といい世界中でCKD治療の取り組みが注目されています。原泌尿器科病院の腎臓内科外来では、2008年より保存期CKDの治療に積極的に取り組んでいます。
「保存期CKDは治らない病気であり結局は人工透析になる」とあきらめる前に、積極的な治療に取り組み、食事などの日常生活をコントロールすれば、透析に入る時期を先延ばしにできます。
保存期CKDとは腎臓の機能が働かなくなった状態です。保存期CKDは、「タンパク尿」など腎疾患の症状や、血液中の老廃物をろ過する腎機能の低下が3カ月以上続いている状態を指します。

主な腎臓の機能は、「1.血液の運んできた老廃物:たんぱく質の代謝産物である尿素窒素(BUN)、クレアチニンなどの排泄」「2.体内の水分量を一定に保つ働き」「3.ナトリウムやカリウムなどの電解質、酸塩基のバランスを一定に保つ働き。」「4.エリスロポエチンという赤血球を作るホルモンの産生、レニンという血圧上昇に関係するホルモンの産生。」「5.ビタミンDを活性化して骨を作る作用。」などがあります。保存期CKDでは以上の1~5つの機能が少しずつ低下してきます。ゆっくりと病気が進行するため自覚症状が少ないことが特徴です。

保存期CKDに対する治療の基本は食事療法です。たんぱく質と塩分とカリウムを制限しながらカロリーを十分に摂ります。低たんぱく食の実行には、低たんぱく米などの治療用食品の利用が不可欠です。患者さんの理想体重あたり1日0.6~0.8g/kgすなわち1日に30~40g程度のたんぱく質の制限が必要です。塩分は、1日6~7g程度に制限します。高カリウム血症があればカリウム制限が必要になります。カリウムは生野菜に多く含まれますが、細かく刻む、茹でこぼす、火を通すことで少なくなります。また果実の食べすぎも注意が必要です。十分なカロリー(1日に理想体重あたり30~35kcalすなわち1日に1800~2000kcal程度)を摂取することで、腎臓の負担を軽くすることができます。以上の食事療法は、簡単ではありませんが、管理栄養士に繰り返し栄養指導を受けること、24時間蓄尿検査にて推定される蛋白摂取量や塩分摂取量をフィードバックすることが大切です。自己流は危険であり専門医の診察と指導が必要です。腎臓内科外来では、机上の栄養指導だけでなく、患者さんとの食事療法の講習会、低蛋白食のラグジュアリーランチ会を開催し患者さまに適切な食事療法を行っています。

薬物療法では、血圧の管理が大切です。家庭血圧を測定して、収縮期圧130mmHg、拡張期圧80mmHg以下を目標にします。降圧剤はアンギオテンシンという物質を抑えるACEI/ARB系の薬剤を積極的に使用します。腎臓への負担を軽減するために数種類の降圧剤の組み合わせが有効です。食事で注意しても、高カリウム血症が続けばカリウムを下げる薬剤を使用します。また、酸塩基のバランスが悪化し血液が酸性に傾くと「足つり、倦怠感」などが出現します。その治療として重曹(炭酸水素ナトリウム)を投与します。腎性貧血が進行すればエリスロポエチン注射や経口造血剤による貧血の治療、カルシウムやリンなど骨が弱くなる腎性骨症が出現すればビタミンDを投与することもあります。クレメジンによる尿毒素の吸着療法も有効な薬物治療です。
近年SGLT2(Sodium/glucose cotransporter 2)阻害薬が保存期CKDに対する有効性が承認され、腎保護効果が認められ積極的に使用しています。

運動に関する注意点ですが、ウォーキングなど有酸素運動が有効です。自転車やゴルフも大丈夫ですが疲れを残さない程度に控えるべきです。筋肉痛などの症状が残らない程度に無理はしないでおきましょう。

以上、保存期腎不全の治療として食事療法と薬物療法について述べました。総合的な治療と生活の工夫で透析にならないようにすることは可能であり、腎内科外来では多くの患者さんと一緒に保存期腎不全の治療に取り組んでいます。

ドクターのご紹介

吉矢邦彦

腎臓内科部長

吉矢 邦彦よしや くにひこ

CKDは進行性であり、末期腎不全に至り透析を必要とすることがあります。残念ながら「治らない病気」です。しかし、諦めずに積極的な治療と日常生活のコントロールを根気よく行うことで、透析に入る期間を先延ばしにできます。自分自身の年齢・生活・人生を考えた上で、日常生活管理、食事療法・薬物療法を続けましょう。すべてできなくても、1つの事からはじめることが大事です。

診療科目 腎臓内科
卒業大学 東京慈恵医科大学(昭和55年卒)
資格 日本透析医学会専門医・指導医
日本腎臓学会認定専門医・指導医・功労会員
専門分野 腎臓疾患全般

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よくある質問

ネフローゼとはどのような病気ですか。

ネフローゼ(症候群)は、特定の一つの疾患ではなく、さまざまな病気が原因となって起こる、同じ症状を持つ疾患群を指します。
「1.高度のたんぱく尿」「2.低たんぱく血症」「3.むくみ(浮腫)」「4.高コレステロール血症」が特徴です。
ネフローゼ症候群の原因となる原疾患は、腎臓自体の糸球体疾患(原発性・一次性)が最も多く全体のほぼ80%を占めています。また、他の疾患に続いて起こるもの(続発性・二次性)としては、代謝性疾患(糖尿病など)、膠原病、感染症、悪性腫瘍などがあります。年齢により原因疾患の発症頻度は異なります。原疾患は膜性腎症、アミロイド腎症、糖尿病性腎症などが多くなります。また、高齢者では続発性(二次性)のネフローゼ症候群が多いのも特徴です。膜性腎症は原発性の場合もありますが、二次性の原因として悪性腫瘍が隠れている場合もありますので、特に高齢者の膜性腎症では悪性腫瘍の精査が必要になります。治療はステロイド薬が基本となり、経過によって免疫抑制薬を併用することがあります。

IgA(アイジーエー)腎症とはどのような病気ですか。

腎臓の糸球体に免疫グロブリンのIgAというたんぱくが沈着している慢性糸球体腎炎です。日本人に多いとされています。初期は無症状で、学校検尿および職域検尿でたんぱく尿または血尿で発見されます。急性上気道感染症(風邪など)を伴った場合には、肉眼的血尿(コーラ色の血尿)が見られることもあります。IgA腎症の患者さんで、病気がどのように進行して行くか(予後といいます)については、腎生検での組織所見と尿所見の程度によってある程度予想できます。腎生検(腎臓の組織検査)の所見で糸球体の増殖性変化と尿細管間質障害の程度が強い場合、たんぱく尿が多くでている場合、尿の中にいろいろな円柱が見られる場合、血圧のコントロール悪い場合などでは、時間とともに次第に腎機能が低下して、腎不全の症状が出る可能性が高くなります。重症例に対する治療は、扁桃腺摘出とパルス療法などのステロイド薬を使用します。

慢性糸球体腎炎の場合、透析は必ず必要になるのですか。

慢性糸球体腎炎と呼ばれる病態にはとても多くのタイプが含まれており、また同じタイプの病態であっても患者さん一人一人で進行度や重症度が異なっています。ですから、「慢性糸球体腎炎だから透析が必要になる」などということは全くないのです。しかし、なかには腎機能の低下が進みやすいタイプも含まれています。また、病気の診断がつくのが遅くなって腎臓の機能がすでに低下してしまってからでは、治療の効果も得られにくくなってきます。ですから、もしも健康診断などで慢性糸球体腎炎の可能性を指摘された場合(血清クレアチニン値の上昇やeGFRの低下、尿蛋白・尿潜血が陽性)専門医を受診することが最も大切なことなのです。検査を受けて慢性糸球体腎炎であると判った場合であっても、病態に応じた適切な治療を始めるのが早ければ早いほど、腎機能が低下することを未然に防いだり、または病気そのものを治してしまったりたりすることができる可能性が高くなります。

糖尿病性腎症とはどんな病気ですか。

糖尿病で日常の血糖管理がうまくいかない状態が続くと腎臓が悪くなる合併症です。進行すると腎臓が機能しなくなり(末期腎不全)、透析療法を受けなくてはならなくなります。現在透析を受けている方の原疾患で一番多いのは糖尿病性腎症です。
腎臓は糸球体という細い血管が集まった組織で老廃物を除去していますが、高血糖が続くと糸球体の細い血管が狭くなり老廃物を十分にろ過できなくなってしまいます。高血圧、たんぱく質や塩分の多い食習慣、肥満、脂質異常症などがあると腎症はどんどん悪化していきます。
糖尿病性腎症は自覚症状がないままに進行していきます。たんぱく尿がでたり、身体に異常がでるようになるのはかなり進んでからです。しかし早い段階で尿に微量なアルブミンが出ることがあるので、これを高感度の検査法で見つけ出すことで発見することができます。糖尿病を発病し、血糖管理が悪い状態が続くと、だいたい10年くらいで腎症が発生すると考えられています。腎症が発見されると、これまでの血糖コントロールや血圧の治療に加えて、腎症に合わせた治療や食事療法が必要になります。低たんぱく食などこれまでの糖尿病の食事療法とは異なるため混乱する人が多いので、管理栄養士とよく相談し腎臓にやさしい食事に切り替えていきましょう。

多発性のう胞腎とはどんな病気ですか。

遺伝的な病気で、腎臓にたくさんの水袋みたいなもの(のう胞)ができる疾患です。親の片方がこの遺伝子を持っていると、性別に関係なく50%の確率(2人に1人)で遺伝します。
のう胞ができても大きくならなければ気がつかずに一生を終える人もいますが、約半分の人は年々のう胞が大きくなり腎臓の機能を圧迫するようになります。腎臓の働きが悪くなるのは、個人差はありますが、だいたい30才代からで、血尿、腹痛・腰背部痛、腹部膨満などが見られます。腎臓だけでなく肝臓やほかの臓器にのう胞ができることもあり、高血圧や脳動脈瘤などの合併症を伴う人も多いです。徐々に腎機能が低下し、多くは70才までに腎移植または透析療法が必要となります。
多発性のう胞腎の診断は、家族(両親、祖父母、兄弟)に同じ病気の人がいることを確認した上で、超音波やCT、MRIによって両方の腎臓に5個以上ののう胞が存在することで確定されます。高血圧治療のほかに特に治療法がありませんでしたが、最近ではサムスカなどの薬もでき、専門医を受診することで積極的な治療を受けることもできるようになりました。

腎硬化症とはどんな病気ですか。

腎硬化症は腎臓が萎縮し小さく硬くなってしまう状態で、高血圧が長期間続くことでだんだんと腎機能が低下していくものを良性腎硬化症と呼びます。近年、患者さんの高齢化などにより増加しています。加齢による影響などさまざまな要因が考えられ、研究が進められています。
腎硬化症は他の腎疾患とは異なりたんぱく尿が少ないことが特徴です。高血圧の人では血液検査でクレアチニンを測定しeGFR(推定糸球体濾過値)が60未満の人では腎硬化症が疑われます。自覚症状はほとんどなく、高血圧の治療が中心になります。
腎硬化症で腎不全になった患者さんは、腎臓以外にも身体中の動脈硬化が進行していることが多く、心筋梗塞や脳卒中などの危険性が高いと考えられます。従来は高齢者の疾患でしたが、最近ではメタボリック症候群などの増加により、働き盛りの30代の患者さんも増えています。

コラム

※病院サイトに移動します

  • 2023.07.10 腎臓のお話

    慢性腎臓病(CKD)の新しい治療SGLT2阻害薬について

  • 2022.10.27 高カリウム血症の治療薬

    高カリウム血症の治療薬

  • 2022.04.11 尿毒症治療薬クレメジン

    慢性腎臓病(CKD)の薬物治療について

  • 2022.02.01 チーム医療

    保存期CKDの食事療法について

保存期レシピ

※病院サイトに移動します

  • 2022.01.25 腎臓病食レシピ

    レシピ動画を公開しました

  • 2021.12.08 腎臓病食レシピ

    ジャージャー麺|保存期のレシピ

  • 2021.12.08 腎臓病食レシピ

    野菜チーズチヂミ|保存期のレシピ

  • 2021.12.08 腎臓病食レシピ

    マンゴープリン風|保存期のレシピ

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