診療について
原泌尿器科病院 腎臓病療養指導士
看護師 藤山 千代
以前は、慢性腎不全と診断されると腎臓の機能を悪化させないために安静にすることが治療のひとつでした。しかし、慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)の概念により、近年は運動を控えて長期間安静により行動が制限されることによって、日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)が低下することがわかってきました。過剰な安静は、体力の低下や、インスリンに対する抵抗性や心血管系合併症の増加など、逆にCKDの進行を早めるリスクが生じることがわかり、CKD患者さんも適度な運動をすることが推奨されています。
運動習慣がない場合に比べて、運動習慣がある場合は死亡率が低くなることや、血液透析が必要になる時期を遅らせることができるということがわかっています。
日本腎臓病リハビリテーション学会(編):腎臓病リハビリテーションガイドより抜粋
適度な運動は骨形成を活発にします。運動を継続することが大切です。また、日光の紫外線を浴びること(日光浴)が、ビタミンDの形成に効果的です。ビタミンDは、骨を強くしたり、筋肉の合成を促したり、免疫機能の調節をしています。木漏れ日程度の日差しの中、ウォーキングすると良いでしょう。
CKDの患者さんは、進行の度合いや症状はさまざまです。どの程度の運動が可能か、医師に相談のうえご自身の体力に合わせて無理のない範囲で運動しましょう。
CKDにおける薬物療法と食事療法、運動を日常生活にうまく合わせて、長く続けることができるように習慣づけましょう。
診察室では、聞けなかったことやもう一度質問したいことなど、看護師に気軽にご相談ください。