診療について
栄養科長 管理栄養士・腎臓病療養指導士 桝田裕子
寒い日が続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?管理栄養士の桝田です。
尿路結石は尿の中の物質、シュウ酸、リン酸、カルシウム、尿酸などが複雑に絡み合って結晶化されたもので、最も多いのがシュウ酸カルシウム結石と言われています。前回、シュウ酸は様々な食品に含まれているため、食事ごとにカルシウムを意識して摂取し、腸の中でシュウ酸とカルシウムを結合させ、便として排泄する事が、再発予防に効果的とお話させていただきました。今回は、尿路結石の原因の一つである動物性脂肪とシュウ酸カルシウム結石の関係についてお話しさせていただきます。
私たちは、食事をすると胃で食物を分解、栄養素を腸で吸収し、血液を通して全身に循環させています。そして、全身から集められた血液は腎臓で濾過され尿の元が作られます。
脂肪が多い食事は、図1のように、
しかし、カルシウム摂取量が少ないと図2のように腸内にカルシウムが少ないため、
つまり、動物性脂肪の摂りすぎは分解された脂肪酸が結石のリスクをあげることになります。特に動物性脂肪の中でも肉類や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎると、体重増加、肥満につながり、多くの生活習慣病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症(高脂血症)・高尿酸血症・動脈硬化症など)を引き起こす原因となります。肉の脂身は取り除き、牛肉や豚肉はもも肉、鶏肉は胸肉やささみを選ぶよう心がけましょう。
一方、動物性脂肪の中でも、イワシや鯖・秋刀魚などの青魚の脂肪(多価不飽和脂肪酸)は血液中のLDLコレステロールを上げず、中性脂肪を下げる作用があります。さらに、魚介類に多いEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は、シュウ酸が尿中に出るのを減少させ、結石を作りにくくすると言われています。
2019年国民健康・栄養調査によると日本人は1日平均、肉類101g摂取に対し、魚介類68.5gと肉類を多く摂取しており、飽和脂肪酸が多い食事になっています。結石予防には摂取比率を肉類を少し減らし、魚介類を増やす意識を持ちましょう。