診療について
原泌尿器科病院 薬剤部 黒田 沙彩
主成分はウラジロガシという生薬で、腎臓・尿細管にできた結石の排石を促すだけでなく溶解や発育を予防する効果があります。
利尿作用のある漢方薬で尿量を増やすことで排石を促します。
前立腺肥大症に伴う排尿障害に対して、尿道を弛緩させておしっこを出しやすくする薬ですが、排石を促す作用もあります。
血圧が下がることもあるので血圧を下げる薬を数種類服用している方は注意が必要です。
高尿酸血症とは血液中の7.0㎎/dLを超えた状態のことです。体内で作られすぎたり、不要となった尿酸が体の外に排泄されなくなり、血液中の尿酸の濃度が高くなることで、痛風や結石の原因になります。
この状態を改善するのにキサンチンオキシダーゼという酵素を阻害することで尿酸値を下げるフェブリク®やザイロリック®といった薬が用いられます。
シスチン尿症とは腎近位尿細管および消化管上部のシスチンと二塩基アミノ酸輸送異常によって尿中に難溶性のシスチン、リジン、アルギニン、オルニチンが多量に排泄されてしまうことが原因で、腎結石が形成されてしまいます。
シスチンの溶解度にはシスチン濃度、pH、イオン強度が影響しています。また、酸性尿では溶解度が非常に低く結石が形成しやすくなります。
このような状態を改善するのにチオラ®が用いられます。
尿が酸性の状態になっていると溶解度が非常に低くなり結石ができやすい状態になります。尿をアルカリ化し結石を溶解するのに用いられる薬がウラリット®です。尿のアルカリ化の目安としてはpH7.0-7.5程度とされています。
しかし、尿の過度なアルカリ化によってリン酸結石が形成されることもあるため、適切にコントロールしていくことが必要です。
主に下剤として用いられますが、尿中のシュウ酸カルシウムと結合し排石を促すことでシュウ酸結石の予防としても用いられます。
(結石予防の場合0.2~0.6g/日服用)
★酸化マグネシウム使用時の注意点
腎障害、心疾患がある方には高マグネシウム血症となる場合もあります。特にご高齢の方は長期間または大量に服用することは避けてください。
また、大量の牛乳やカルシウム製剤、ニューキノロン系抗生剤(レボフロキサシンなど)・テトラサイクリン系抗生剤(ミノサイクリンなど)と飲み合わせの注意も必要です。
主に浮腫、高血圧に用いられます。
おしっこの量を増加させることで排石を促します。
★利尿剤使用時の注意点
脱水や血圧が下がることでめまいやふらつきが起こる場合があるため注意が必要です。
結石により生じる痛みにはNSAIDsやアセトアミノフェン、芍薬甘草湯などが使用され、剤型は内服薬、坐薬、点滴の3種類があります。
鎮痛効果は強いですが使用しすぎると消化器症状、腎障害が現れやすくなります。
アセトアミノフェンは比較的安全に使用できる解熱・鎮痛剤です。
骨格筋や平滑筋の痙攣を抑えることで痛みを和らげます。
★鎮痛剤使用時の注意点
・鎮痛剤を使用しすぎることで胃や腎臓に負担がかかってしまうため間隔を空けて使用しましょう。(最低でも4時間空けることが必要です)
・空腹時に服用することで胃に負担がかかりやすくなるためなるべく空腹時は避けて服用してください。空腹時の場合はビスケットなど少し食べてから服用すること軽減されます。
・坐薬挿入後すぐに出てしまった場合、直後であれば再度挿入しても構いませんが、15分以上経っている場合は薬が体内へ吸収されている可能性があるためそのまま様子を見てください。
尿中のカルシウムの排泄が増加することで、カルシウム含有結石を形成することがあるので血液検査のカルシウム値が高い方は注意が必要です。
サプリメントにもビタミンDやカルシウムが含まれているものがあります。
成分がわからない場合は、医師・薬剤師へ相談してください。
尿pHコントロールが不十分で高濃度の尿酸が尿中へ排泄されると尿酸結石が形成されやすくなります。
結石の既往がある方は服用できない薬になるため主治医への相談が必要です。
尿中のカルシウム、リンの排泄を増加させてリン酸カルシウム結石を形成することがあるため注意が必要です。
上記のような薬剤が原因で結石が形成されやすくなることもあり、このような場合には中止や減量を行います。
医療機関受診時にはお薬手帳や薬の情報がわかるものを持参しましょう。
今回は結石予防に用いられる薬についてお話をしましたが、結石を予防するにはお薬だけでなく食事や運動も重要になります。
規則正しい生活習慣を心がけていきましょう。