腎瘻造設法について

腎瘻の適応疾患と腎瘻造設法について

2021.03.02泌尿器科

原泌尿器科病院 診療部長 山道 深

①腎瘻造設の適応について

① 尿路変向目的

尿管結石による尿管閉塞や悪性腫瘍の尿管圧迫、尿管浸潤による尿管閉塞、尿管カテーテル留置が困難な尿管閉塞に対して、腎機能を守る目的で行われます。

② 泌尿器尿路内視鏡目的

腎結石で2㎝を超える大きな結石の治療目的などの際に行われます。

①についてですが、尿管が閉塞状態で、特に尿管カテーテル留置が不可能な場合に適応になります。適応疾患としては、尿管結石嵌頓状態、胃癌などの消化器癌による腹膜転移や子宮癌などの婦人科癌による尿管圧迫、尿管浸潤症例などになります。

②についてですが、経皮的腎尿管結石砕石術などの際に行います。適応疾患としましては、腎珊瑚状結石などです。

①腎瘻造設の適応について

②腎瘻造設方法について

腎瘻とは、背中から腎臓に穴をあけて、チューブ(カテーテル)を留置し、尿の流れを確保する方法です。腎臓は血管が豊富な臓器なので、エコー検査を用いて行います。

体位ですが、通常うつ伏せ(腹臥位)で、腹臥位困難な患者様は側臥位(横向き)で行います。体位が出来上がった後、背中からエコーを当てて、血流の流れ、腎杯の確認を行い、細い針を刺すための穿刺部位を決めます。穿刺部位に局所麻酔をした後、エコーを見ながら細い針を穿刺します。穿刺針から尿が返ってくることを確認し、X線透視画像を見ながら腎にガイドワイヤーを通します。ガイドワイヤーが腎に挿入された後、細い針を抜きます。このとき、エコーで出血がないことを確認し、筋膜ダイレータを用いて、X線透視画像を見ながら少しずつ穴を大きくし、最終的に腎瘻カテーテルを留置します。腎瘻カテーテル留置後は、出血の有無を確認し、集尿袋につなぎます。

腎瘻造設の際の合併症は、1.出血、2.腎盂尿管穿孔、3.胸膜損傷、肺損傷、4.腸管損傷が挙げられます。以下に合併症の詳細と対処法を説明させていただきます。

②腎瘻造設方法について

① 出血

腎臓は血管が豊富な臓器のため、血管損傷による出血の合併症があります。この場合、腎瘻カテーテルを挿入による圧迫止血をしますが、それでも出血コントロールがつかない場合は、血管造影検査を行い、損傷血管の塞栓術(損傷血管に血流が流れないように血管を詰めてしまう)を行うことがあります。

② 腎盂尿管穿孔

穿刺針あるいは穴を広げる際の筋膜ダイレータで起こることがあります。
このとき、腎瘻カテーテル挿入し経過観察となります。
 
以下は腎の周囲臓器に対する合併症です。

③ 胸膜損傷、肺損傷

気胸を生じた場合は、胸腔穿刺、胸腔ドレーンの適応になります。

④ 腸管損傷

症状が軽ければ、絶飲食と点滴加療で経過観察となりますが、腹膜炎症状が認められるようであれば、緊急開腹手術となります。

以上、腎瘻の適応疾患と腎瘻造設方法、合併症についてお話させていただきました。
疑問点、ご不明な点がありましたら、いつでもスタッフにお声がけください。

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