原泌尿器科病院 - 神戸市の泌尿器科・腎臓内科

腎ろう造設術

2020.12.18泌尿器科

腎ろうカテーテルの管理について

原泌尿器科病院 看護部長 稲田 初穂

① 目的

結石や何らかの原因により、腎臓で作られた尿が膀胱に流れず水腎症となっている状態に対し、腎機能の低下・急性腎盂腎炎からの敗血症を防ぐために行う。(尿管ステントが入らない場合など)

② 適応

尿管の閉塞に伴う急性腎盂腎炎もしくは腎後性腎不全を呈している場合、および尿管閉塞に伴い尿溢流(もれだしている)が生じている。

③ 交換時期

腎ろうカテーテルの交換間隔は使用するカテーテルにより異なる。通常は月1回外来で交換。 レントゲン室でX線透視下に造影をしながら行う。 (問題が無ければ10分程度で交換)

④ 留置中の管理

体の延長上に腎ろうカテーテルがあるため拘束感や行動制限を感じやすく、腎ろうカテーテルは閉塞したり抜けやすく屈曲しやすいので、テープ固定を確実に行うことが重要。

※ 尿の流出が少ない場合など捻れや屈曲がないか、挿入部がカテーテルからセンチになっているか毎日確認が必要。目盛りが見えない場合もあるため挿入部位のカテーテルに油性ペンで印をつけるのも良いでしょう。
※ 腎ろうは尿路感染の原因になります。尿の性状(濁りや血尿の程度)や量の観察、挿入部の痛みやガーゼの汚染、皮膚の状態(発赤や膿の有無)発熱の観察を行う。
※ カテーテル脇からの尿漏れは術後1~2週間で軽減するが、感染予防のためにも挿入部を清潔保持に努める。
※ 蓄尿バックは腎臓より高いと尿が逆流するので低い位置におく、足に固定。

細菌は、皮膚とカテーテルの隙間から尿路へ侵入します。カテーテル周囲をドレッシングや滅菌ガーゼで覆っても完全に予防することは難しいといえます。
カテーテルにより尿が流れてたまりが少なくなれば、発熱や敗血症をきたす事は少ないです。
挿入部に感染徴候(発赤、腫脹、排膿)がなければ消毒など必要はないといわれていますが、看護師・医師と相談しましょう。

⑤ 合併症

造設時:血尿・カテーテル閉塞・腎盂腎炎・腎被膜下血腫・腸管損傷・胸膜損傷・肺損傷
交換時:血尿・腎盂腎炎
留置中:血尿・カテーテルの閉塞・先端の位置不良(自然抜去)腎盂腎炎

⑥ カテーテル固定部管理

腎ろうカテーテルはズボンのベルト上辺り(腰背部)から挿入おり、自己で行う場合は鏡を使用してください。カテーテルを1人で管理するのは難しいので、ご家族の協力をお願いしてください。
※ 独居の方は、訪問看護など検討が必要。毎日の交換は必要ありません。

腎ろうカテーテルの管理について

固定部交換手順

(1)必要物品の準備
消毒(イソジン消毒かクロルヘキシジン消毒)
キュティーポアプラスSSかSサイズ(防水可能なテープ)
クイックフィックス(カテーテル固定テープ)→画像

(2)手洗い・手指消毒

(3)挿入部の洗浄・消毒
・ 挿入部はシャワーでながし(石鹸泡で優しく洗浄し)水分をとる
・ 消毒しキュテーポアを貼る。増設直後は、キュテーポアを貼ったままでシャワーを行う
・ カテーテルの捻れないようにクイックフィックスで固定。5センチ程度はなれた位置のカテーテル末端を直線的に固定するのではなく、少し余裕を持って固定。カテーテル接続部もクイックフィックスで固定し、蓄尿バック(レッグバック)につなぐと強度が増す

テープの固定は同じところに貼るのではなく、少しずらしましょう。
バックの尿は早めに破棄して、あまり貯めないようにしましょう。
重みでカテーテルが抜けやすくなります。

⑦ 入浴方法

医師の許可があれば、入浴は可能。入浴前後はカテーテルの挿入部を観察。蓄尿バックは浴槽の外にだして逆流しないように注意が必要。入浴後はテープの張替えを行う。

⑧ 病院への連絡が必要な場合

・排尿量が少ない・または尿が出ない
・背中に痛みがあったり、熱があったりする
・血尿・または尿が濁っている

カテーテル固定テープ使用方法

① 1枚取り出します
② 肌色のテープを剥がします
③ カテーテルを固定したい場所に貼ります
④ 白いテープを剥がします
⑤ カテーテルを巻く感じに白いテープで包みます
⑥ カテーテルとテープの間にすき間ができないように白いテープを折り返して貼ります
⑦ あまっている肌色のテープを白いテープの上から貼ります
⑧ これで終わりです

白いテープは何回も貼り直しができます。 貼る場所を少しずらして5~7日ごとに交換して下さい。
肌が赤くなり、かゆみがでる場合は使用を中止して下さい。

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